
『またね、富士丸。』穴澤賢著 世界文化社刊
あの朝も、今日と同じように雨が降っていました。「晴れ男」だったのに、なんで最後の時に雨を呼んだのか、朝時雨に濡れながら、不思議な気持ちで井の頭公園に向かったものです。ところが、吉祥寺駅に着くと雨は上がっていて、曇天の下、11月22日の「送る会」は粛々と進行していったのでした。やっぱりあいつは「晴れ犬」だったのでした。
富士丸が亡くなって1年が過ぎました。長いようで短かった1年。この間、相棒の穴澤さんはペットロスに苦しみながら、新しい生活を少しづつ構築していきました。僕はそれをただ見守ることしかできませんでしたが、その苦悩はいかばかりだったでしょう。
そんな彼が本を出版しました。『またね、富士丸。』(世界文化社刊)。本日発売です。
犬が好きな人もそうでない人も、本が好きな人もそうでない人も、大切な人やペットやモノを失って苦しんでいる人もそうでない人も、男の人も女の人も、とにかく一人でも多くの人に読んでもらいたい1冊に仕上がっています。僕は不覚にも、読みながら何度も涙をこぼしましたよ。本当に、いい本です。
秋の夜長に、フェデリコ・マテのリラックスを飲みながら読書をするとき、遠い日に置き忘れてきたものがあなたの胸にきっと去来することでしょう。
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